|
ご挨拶
現代医学の発展は目覚しく、救命困難とされた重症脳損傷患者を死の淵から生還させることが可能になりました。しかし、医師や医療者の努力によって救命されたものの不幸にして植物状態や意識障害が遷延し、以前の生活に戻る事もままならず、患者の苦しみはもちろんの事、患者家族も看護介護の日常生活に精神的、肉体的、経済的にも大きな負担を強いられています。
本学会開催の目的は意識障害患者の治療と社会復帰を目指しています。しかし、患者を救命し身体を治療しても意識が戻らない患者がいます。残念ながら、意識障害の治療は従来の医療だけでは不十分であり、意識障害患者の治療で困難なのは本人が何人であるかの自己意識を甦らせることです。患者の意識を如何に呼び覚ますか、それが治療の鍵になります。すなわち、こころの治療とも言い換えられる自己意識の回復が重要なのです。急性期から亜急性期における医療の充実を基盤として、慢性期に入る前の段階に患者の意識を甦らせる治療方法を開発しなければ遷延性意識障害患者が増えることがあっても減ることはありません。
そこで、本学会は現在の意識障害患者の治療に欠けているものは何か、何処に問題があるのかを解明し、新たな治療概念に基づく意識障害治療システムの構築を目指します。従って本学会は"意識とは何か""脳とこころ"を科学的に探る視点から、意識障害の治療に最も必要な自己意識を甦らせる方法について、臨床研究・基礎研究の第一人者を一同に集め、こころのはたらきを示す音楽や芸術の果たす役割を確認しつつ、最新の脳神経科学研究の成果や先端医療による治療の可能性と会わせて意識障害治療システムについて検討します。本学会開催の意義はそこにあります。
プログラムを構成にあたり、以上の観点から本学会の主題を「医療と芸術の融合による意識障害治療」とし、こころと身体の機能に関連する知見を総合的に理解し、意識障害患者の社会復帰に必要な知見と、その方法を模索するために演者と演題を決定します。
|